ホールのピアノは音が出ない?

今回はレッスン中に改めて気づいたことについて書いてみたいと思います。

「スタインウェイは音が出ない」

という声がありました。

そんなはずは無いと色々と深く聞いていくと・・・ホールのピアノ(ほぼスタインウェイ)で弾くと、いつも聞こえている音と違うように聞こえるとのこと。

確かにホールだと壁の反射音が遅れて聞こえることもあり、確かに場合によっては演奏者は自分の音が小さく聞こえるという感覚もあるので、そのことかと思って話していてもどうもそうではない様子。

ではと、前橋教室にあるスタインウェイで弾いてみると、やっぱりこれもダメ笑とのことで、そこで初めてホールのピアノというよりもスタインウェイに弾きにくさを感じていることが判明。教室に本番と同じピアノがあるのはやはり大きなメリットです。

前橋の教室には横にザイラーというピアノが並んでいて、そちらで弾くとしっくりくる。こちらは少し軽やかな良く響く音を持っているピアノです。

スタインウェイは、当初の簡素な作りで、あまり大きな音が出なかった時代のピアノから、大きな音が出せるように頑丈になるという発展をしてきたピアノの歴史において、最も現在広く使われている楽器です。

その時に演奏した曲はかなり激しさもあるダイナミックな表現が必要な曲だったこともあり、大きな音量も欲しいのでスタインウェイはむしろ雰囲気ピッタリのはずです。

ただ、うまく行かない。

一緒に考えた結果、スタインウェイは表現の幅があるからこそ、大きな音量はかなりの強いタッチで弾く必要があるとの結論になりました。

自分で弾いているときはあまりそれは意識したことはなかったのですが、実際に弾いて見ると確かに強いタッチで弾いているときも多く、改めてやっていることを言葉にすることの大切さと難しさを感じました。

いつもと同じように弾くのではなくて、同じ様に「聞こえる」様に弾くと良いと話しました。

ピアニストはそこにある楽器を使うので、ある程度、時には大分楽器に合わせて自分のテクニックと耳をチューニングする必要があります。自然に出来ることもあれば、かなり苦労することもあり、ある意味では鈍感だとうまくいくこともあったりするのかなとも思います。アコースティックな楽器ならではの難しさです。

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